雲の平

Milletさんのお誘いで雲の平へ行くことに。テン泊・2泊3日と初めてのことばかりだけれど、こんな山のプロと一緒に登れる機会はもう二度とない…!と挑戦することにした

1日目は標高1,350mの折立登山口から標高2,330mの太郎平まで一気に登る。駐車場で各々準備を整える。初めてのテント泊、伊豆の反省を活かしてできるだけ荷物を軽くしてきたものの、水や食料を入れて約15kg。背負えるだろうか…と不安だったが、Milletの2機室のザックは腰のホールドがしっかりしてるので、腰ベルトを締めればあまり重さを感じなくなった。そして肩にも痣ができてなかった。これは良い

車でこの折立駐車場へ向かっている時に熊を見かけた。その時は車の中だったのでサファリパークよろしく「あー熊だー」なんて気楽なものだったが、歩いている時に出会したくはない。ガサガサと音がした時は皆で声を出しながら、体力と熊に不安を感じながらも、頑張って登る

木道に出ると夏の空!林道を抜けるとここからは楽しい森林限界の尾根歩きに。尾根と稜線の違いを教えて貰い、やっと理解する。尾根は山頂までの道、山頂と山頂を繋ぐのが稜線なんだって。勉強になります

少し雲は出てきたものの、気持ちが良い天気。空が広いから雲で太陽が隠れてもどこかには青空が広がっているのが嬉しい

そして1日目の宿泊場所、太郎平へ。1日目は疲れながらもなんなく登れた。今まで見た山小屋の中でも凄く賑やかな小屋。飲み物や食べ物のメニューが充実してる!薬師沢小屋でも飲料水は売っているとのことなので、2日目は今ある分だけを持っていき、朝の時点で補充はしないことにした。

担ぐ飲料水のこと
太郎平小屋→薬師沢小屋と、コース上にこれだけ水場が充実しているなら飲み物は必要最低限で良かったと気付く。太郎平に着いた時点で残っていた飲み物は1L。始めに2.5Lを用意していたので少なくてもあと700g〜1kgは軽くできたということになる
もちろん途中に水や食料が豊富な小屋があるからこそなんだけど、小屋の有り難みを噛み締めつつ、自分が重さで潰れないくらいの水の量を見極めるということが大事かもしれない(季節や雨量によっても違うのでその都度確認は必要)

太郎平小屋で受付を済ませグッズを物色。ここのグッズはとても可愛くてかなりツボだった。小屋の中の手作りPOPも最高!散々悩んでフェルトのワッペンバッヂをお持ち帰りすることに。う〜…他のも可愛いかった!めちゃくちゃ悩んだ!

小屋の雲が晴れ見事な夕焼け。いつも日帰りが基本で、この時間に山にいることはほぼないので、金色に輝きだんだん赤く染まっていく木道はとても幻想的で美しかった。
噂のチングルマも。朝露に濡れたチングルマは更に綺麗なそうな。こりゃ翌朝が楽しみだ

2日目は太郎平から雲ノ平へ。山の天気は朝方は晴れて午後から天気が崩れることが多いらしく、2日目は予定より早めに出発。縦走と聞いて稜線歩きを想像してたけれど、なんと400m下ってまた600m登り返すというルート。あれだけ頑張って上ったのにまた下りるのか…

でも太郎平から周りの山を見ながら歩く木道は楽しい。花もだんだん種類が増えてきて辺りは華やかに。ここからは時折沢も出てきて景色の変化が楽しい。針葉樹も多く、Theアルプス!といった感じ

薬師沢まで下りたところで休憩。沢がめちゃくちゃ冷たい!!!クールダウンどころか凍えてしまう!

嬉しいのがこのコースは太郎平小屋も薬師沢小屋も牛乳が売っているということ。牛乳好きには堪らない。お酒は飲めないのでビールの代わりに戴きます!

そしてこのルート最大の難関、薬師沢小屋からアラスカ庭園への上り。最初は中くらいの石、だんだん大きな岩。急登な上にこの岩が滑る滑る…!ルート選びが下手くそな私、下ばかり見て登ってたら足の置き場を失ってまた下りる、なんてこともしばしば。延々と続くこの難ルートに景色も見えず、メンタルやられまくり。やっと登り切った時はやったー!と叫んだものの鬱蒼とした道になかなか心は晴れない。早く開けた所に出たい…!すれ違う人たちの労いの言葉や応援になんとか持ち直してアラスカ庭園に着いた時は本当に嬉しかった!!苦しかった〜!でもまた明日ここを下ると思うとゾッとする…

アラスカ庭園で休憩をとり奥日本庭園、雲ノ平へと入って行く。雲が出てきたけれど抜ける景色に心は軽い。とにかく雨が降る前に小屋に着きたい…!

細い木道を通る時に手を下ろしていると、どうしても振ってしまってその動きに身体も揺られてフラフラ落ちそうになるので、ザックのハーネスに付いているストラップ部に指を引っ掛けていると身体のブレが安定して凄く歩きやすかった。最初はこのストラップ何だろなと不思議だったけど、うん納得、このためにあるんだな

そしてとうとう雲ノ平小屋へ。やっと辿り着いた!雲ノ平小屋はここは本当に山小屋ですか?!というくらいお洒落で綺麗。小屋の雑多な部分は一切表に出してない。日々の運営で忙しいだろうに細かなところまで手が行き届いてて感服。小粋な喫茶店に来たみたい

そんな素敵な小屋で休憩をしてる間に夕立が。テン泊大丈夫かな…と心配したけれどすぐに止んでもう降りそうにない。雨が少なかった小屋にとっては恵みの雨

雨が上がって山が赤く染まる。雲があるお陰で凄く幻想的な空に。そしてまっ暗くになる前にテントへ

テン泊のこと
今回のテン泊ではOMMの時と同じくマット+エアマット。これがやっぱり私には快適で、疲れてたのもありぐっすり寝れた。テン泊のいいところは布団や枕が合わないということがなく、パーソナルスペースが確保される。耳栓・アイマスクはあるとより安眠が確保できる

寝袋には防寒と結露避けでSOLのエスケープライトヴィヴィを。枕はなしでエアマットに直接頭を乗せたほうが具合が良かった。また、テントの下にタイベックを敷いてたお陰で夕立で濡れていた地面でもテントに染みず、朝起きたときも床は濡れてなかった

半袖でもいけるかなと思ったけれど、やっぱり夜中に寒くなったので薄手のフリースを着込む。夜〜朝にかけてはかなり冷え込んでとにかく持っていた服を全部着込みモジモジくんスタイル。下着はMilletのアミアミを。三日間の間一度も着替えなかったが、敏感肌の私でも痒くなることはなく、匂いも気にならなかった。汗冷えもほとんど感じず、これはかなり優秀だった

そして朝方テントを開けた時の満面の星空に感激!小屋だと就寝時間があったりするので、気軽に外に出れるのはテン泊の醍醐味だと感じた

最終日は一番長い行程、2日かけて来た道を1日で下山。下山といっても登り返しがあるルート。ちゃんと帰り着くだろうか…。朝は青空の中を清々しい気持ちで出発!昨日は雲がかかっていた周辺の山もクッキリと姿を現していた。何度教えて貰ってもどれがどの山か覚えられない私

今日は昼過ぎから雨との予報だったので早めに行動。アラスカ庭園までの道は天気もよくかなりいいペース。そして問題の薬師沢小屋への下りへ

予想してた通り下りは滑るのが恐くてかなりペースが遅い。食料や水がなくなった分荷物は軽くなってるはずなのに、疲れのせいでずっしりと荷物が背中にのしかかる。足に踏ん張る力がない。ポールや周辺の枝の効率的な使い方や足の付き方、呼吸の仕方を教えて貰いながら必死で下りる

・息を吐くときはハアじゃなくフゥー。その方が次に息を吸い込みやすい
・針葉樹はちょっとやそっとじゃちぎれないので、下りはギリギリ届くとこまで枝を掴む

一度滑って転んで膝を打ってかなりメンタルをやられたけれど、失敗しても「ヨシ!」と言って自分を鼓舞すると前向きになれるよと教わりそれからみんなで「ヨシ!」の連発。笑
その甲斐もあって何とか薬師沢へ。小屋で昼食と共にヴィダインやら牛乳やらとにかく栄養を補給してなんとか復活。そして太郎平への上り返し

太郎平に着いてとりあえず半分きた!のお疲れオレンジジュースを一気飲み。いつもくらいの日帰り登山だと「小屋の飲み物高いからなぁ…」と少し躊躇するけれど、この日は「いくらでも出すよ!ここに小屋を立ててくれてありがとう!高いヘリコプター代、ありがとう!歩荷さん、ありがとう!!!」と小屋の重要性や有り難みをまじまじと実感した。冷たくて酸味と甘味の利いたオレンジジュースの美味しかったこと!

その後雲行きが怪しくなり途中の尾根道で雨が。この時も雨具を着るタイミングや判断の早さなど凄く勉強になった(その後の乾かし方なんかも)

幸い雨は少しして止んで、後は歩き切るだけ。最後はもう足がフラフラで自分から話しかける余裕もなく、背中も痛くなったけれど、なんとか自分の足で下山。やり切ったことへの達成感が凄かった…!

私にとっては全て勉強。自分一人ではなかなか挑戦できなかった経験を、チームの皆さんの励ましのおかげでやり切れました。本当に感謝です。下山直後は疲れてフラフラだったけど、これを書きながらもうすでにアルプスに帰りたい!笑