写真でよく見る憧れの伊豆稜線歩道へ…!と前々から予定を立ていざ現地へ。ネットで調べた情報によると、このコースは水場がないとのこと。予報は最高32度、最低25度。水5Lと食料、テン泊装備を担いで出発。初めてのテント泊。荷物が今までにないほど重い。後で計るとなんと18kgもあった
天城峠といえば石川さゆりさん。以前ここに車で訪れたときは、天城越えを大音量で聴きながら合唱した。実際に自分が天城越えを体験する日が来ようとは。天城峠バス停から旧天城隧道までは苔むした階段を昇る。旧天城隧道は煉瓦造りと豆電球。レトロさを感じるとてもいい空気
トイレはここが最後になる。支度を済ませて天城峠へと向かう。気温は高くないが湿気がすごく、汗がどんどん滴り落ちる。そうして辿り着いた天城峠は風が吹き抜けてとても気持ちが良い。ついついここで長居してしまった。お弁当だけ持ってここをゴールとするハイクは最高だろう。天城隧道を楽しみたい人はぜひここまで来ることをオススメします!
天城峠からの道はよくある林道と違い、見通しがよく風が抜ける気持ちの良い林道。荷物のせいでペースはいつもより遅いものの、今回は始めからポールも使いこの辺は歩けていた。背中の重さに常に前傾姿勢で歩くなか、ふと見上げると富士山が…!この日最初で最後の富士山の姿だった。そして道はだんだん荒れていく
だんだん道はトラバース気味の細い道に。前日の雨か、以前の台風のせいか、道が崩れているところが多く足元に砂利が流れ落ちる状態で溜まっている。そのまま横に滑り落ちて行かないか注意をしながら歩く。大木が道を塞いでいる場所も数あり、幹にしがみつく形で越えて行く
グラグラ動く岩、深いところは一度降りてまた昇る。この沢も重いザックを背負っていると渡るのがなかなか重労働だ。そしてなんとか二本杉峠まで来た。水場がないと聞いていたけれど、雨の次の日で小さな沢が幾つもできていた。浄水器を持っていたので5Lも水は要らなかったかも…
二本杉峠から宗太郎園地までの道は土砂崩れのため通行止め。仁科峠までのルートは通れるようだ。二本杉峠でだいぶ時間が遅れていることに気付き、ここからペースを上げる。が、どんどん疲労は溜まり、ベンチを見つけるたびに休憩を取ることになる。こんなにベンチが待ち遠しいと感じたのは初めてだ。三蓋山(みかさやま)を越えたくらいから辺りはガスってきて薄暗くなる。薄暗い林道、見えるのはずっと同じ足元、やっと暗い林道を抜けたと思えば足1つ分だけ擦り減って凹んだ赤土の道、張り出す枝や幹。重い荷物を背負って屈んで枝を避けないといけないのが一番辛かった。頭の中はもう止めたい、止めたいという言葉がぐるぐる回り、久しぶりにメンタル崩壊しそうだった
暗い話ばかりで申し訳ないが、ルートを調べる中で私が見たブログでは皆さんそう辛くなく縦走しているように感じたので…今の稜線歩道は18kgの荷物がなかったとしてもなかなかキツい場所だよということをお伝えしたいのです笑
なかなか辿り着かない猫越峠までの道を歩いていると、この山のヌシのような大木がある広場に出た。霧と苔がよりその神秘さを増している。何故かこの木に惹かれて、ここで休憩をとることに。猫越峠はすごく狭い通り道だったので、この場所で休憩をとったのは正解だった
ここで見かねた友人が私の荷物を少し引き受けてくれた。このお陰で私のメンタルは少し回復し、口を開く気力も出た。そして辿り着いた猫越岳山頂も池もガスに覆われていたが(少し雨もパラついていた)そのすぐ先の展望台に寄った際にやっと晴れ間が
太陽というものは、なんと生きるチカラを与えてくれるものなんだろう。大げさと思われるだろうけど、この時は本当に太陽の有り難みを思い知った。光がない世界では人は本当に鬱になるのね…
猫越岳を過ぎ、コースの先にあるのは後藤山。山ということはまた上るということで…これが最後だと必死で登り、特に展望のない後藤山を過ぎてようやく写真でよく見た稜線が!やっとここまで来たー!
牧場に出たところで緊張の糸が切れ座り込む。余裕ないせいで着こなしはぐちゃぐちゃでオバちゃん感溢れてるし、今回の写真常にデコも出てるし、眉毛も消えてるけどこの時の写真が一番好きだ笑
仁科峠まで来たところで今後の行動を相談。夜中から明日の昼にかけての雨予報、ここから東屋のある予定の設営場所まで行く頃にはもう日は暮れているだろう、とはいえ仁科峠は雨風を凌げる場所がない。そして身体もメンタルもボロボロだ
それらの理由で仁科峠で撤退することを決めた。通信環境が悪い中タクシー会社に電話が通じた時の安堵感たることや。ぼろ雑巾のような状態ながら学んだことは多かったと思う。備えあれば…の精神で余計な物を持ってき過ぎたのだと反省。自分の身の丈にあった荷物の選択をこれからもっと意識したい
2022年8月17日
伊豆稜線歩道
天城峠ー三蓋山ー猫越岳ー後藤山ー仁科峠
所在地 静岡県
距離 約16.6km
最高標高 1034m
標高差 約400m
コースタイム 約9時間半
今回の予定
(8:15)修善寺駅バス停発
(9:00)天城峠バス停着
(9:45)天城峠
(10:30)二本杉峠
(12:10)つげ峠
(14:00)猫越峠
(14:30)猫越岳
(15:30)後藤山
(16:15)風早峠
(16:45)宇久須峠 テント泊
2日目
(7:00)宇久須峠発
(8:10)土肥峠
(9:10)棚場山
(9:45)船厚峠
(12:20)達磨山
(14:40)達磨山レストハウスバス停
今回の記録
(8:15)修善寺駅バス停発
(9:00)天城峠バス停着
(10:00)天城峠
(12:15)二本杉峠
(13:45)三蓋山
(15:55)猫越峠
(17:00)猫越岳
(17:40)後藤山
(18:20)仁科峠
ここでエスケープ。タクシー迎車